実川俊「ふりむけば50億」

○ブログ「ミルクたっぷりの酒」に2011年8月13日公開したものを転載


埋もれた名盤、隠れた名盤という言葉があるのなら、このアルバムこそその名称に相応しい。
多分それほど売れなかったろうし、雑誌などで音楽評論家がこのアルバムに言及することもほとんどない。
山平和彦の「女郎花の賦」とともに、アルバムのクオリティは物凄く高いのに、その魅力・良さを理解している人が少ないために忘れられた作品となってしまっている。


<SIDE A>
博士の浮気
暗殺研究所
とび始めた天使
スキャンダルを追って
三時のホットケーキ
遅刻の気分


<SIDE B>
プリティ・ボス
刑事とホステス
愛してスーパースター
お殿様感傷旅行
鬼にかえろう
アンニュイ


当時発売された音楽雑誌(多分「新譜ジューナル」)で評論家の北中正和が好意的な評価をしていた。
その評ではおもちゃ箱のようなアルバムと評価していた気がするが、ミドルテンポの曲、ラテン系のアレンジ、スローテンポのしっとりした曲、アップテンポの曲と多彩な音楽性をみせて飽きさせない。
ただ、歌詞の内容がマンガチックなのでそれが一般受けしなかった大きな要因かもしれない。
自分はこの手の作品も好きだが、普通のラブソングや感動させる曲のほうが受け入れられやすいからな〜。
(楽曲としては「博士の浮気」「暗殺研究所」「プリティ・ボス」「愛してスーパースター」「鬼にかえろう」が好き。特に「愛してスーパースター」は今までに聴いたことのあるすべての曲の中でも上位にはいるフェイバリット曲。他にもスローテンポの「とび始めた天使」「三時のホットケーキ」も捨てがたい。)


当時(1979年の秋か冬だった気がする)、フジテレビの「夜のヒットスタジオ」に出演して「鬼にかえろう」を歌ったから見たこと(聴いたこと)のある人はけっこういる筈。(翌日、その番組を観ていた同級生はあまり好きではなかったと言っていた。)


この後、セカンドアルバムを発売したという話はきかなかったが、80年代にはいるとテレビ番組の音楽担当者として実川俊晴の名前を目にするようになった。(アルバム発表時の実川俊は芸名だったらしい。)
90年代にはTVアニメ「キテレツ大百科」のテーマ曲「はじめてのチュウ」でまた名前を目にすることになった(他にも何曲か作曲していたと思ったけれど)。こちらはかなりメジャーな存在。
はじめてのチュウ」をテレビで歌っているところを見たことがあるが、何年位前だったろう。


[おまけ]
90年代、シャ乱Qだったか(別のグループだったかが)、歌詞の中に「...」(テンテンテン)をいれたことがあったような気がするが、「遅刻の気分」の中で既に「...。」(テンテンテン、マル)という歌詞がとりいれられていた。この曲のことを知っていたかどうかは不明だが。


アルバム「ふりむけば50億」を発表する前のことは全然知らなかったのだが、00年代初頭に聞いたラジオ番組、坂崎幸之助の「Kズ・トランスミッション」にゲスト出演していて、マギーメイというフォークグループでデビューしていたことを知る。


実川氏はホームページを運営しているので、色々情報を入手できます。
  ようこそワンダーへんだあランドへ


キテレツ大百科 スーパーベスト

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追記 2017年2月17日

ポップ・ソングス 1979-2016

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アルバム『ふりむけば50億』全収録曲を含む実川俊晴の2枚組CDが2017年1月に発売された。