マライアはフュージョン・バンドか

メンバーが元々ジャズ畑の人だったので、音楽雑誌やレコード店ではフュージョンに分類されていた。
だが、一般的なイメージのフュージョン・グループとは一味も二味もちがう音楽を生み出してきた。
大好きなグループである。

アルバム「YENトリックス」(キングレコード

ロック色のつよいアルバム。AORやポップスの要素もつよい。

A1-YENトリックス。
・オープニングのストリングスはプログレっぽさを感じさせる。ポップなハードロックといったところか。
A2-キー・オブ・ゴールド。B1-レット・イット・ブロー
・スローテンポのポップ・ロック。
A3-ディスタント・レインボー
・ミディアムテンポのポップなナンバー
A4-ブラック・マライア。B3-バーニングPM
・A1同様ポップなハードロック。
B2-ウイ・アー・ザ・セイム。B4-フェイト
・スローテンポのバラードナンバー

サウンド的にはフュージョン色はほとんどない。ジャンル分けすればロックあるいはポップスに分類されるだろう。

YENトリックス(紙ジャケット仕様)

YENトリックス(紙ジャケット仕様)

YENトリックス

YENトリックス

アルバム「アウシュビッツ・ドリーム」(キングレコード

1stアルバムのロック路線に、のちの「マージナル・ラヴ」的な要素が加わった作品。

A1のヒットラー(?)の演説入りの導入曲(「イントロダクション」)に続き、ハードロックナンバー(A2「アウシュビッツ・ドリーム」)が始まる。
前作はポップ色のつよいロック作品だったが、この2ndアルバムはテーマもサウンドもよりヘビーになった。
A3-ザ・サン・イズ・シャイニング・スルー
・A2同様ヘビーなハードロックナンバープログレ的な要素もある。
A4-失われた子供達
・テンポはミディアムだが、ヘビーでプログレ的な楽曲。
B1-はるかなる東から
・スローテンポからアップテンポへとリズムチェンジする、これもプログレ的なロックナンバー
B2-世紀末少年隊
・コミカルさも感じさせるインストナンバー
B3-プッシー・ブラット
・ハードロックナンバー
B4-エスタンシア・ラバー
・バラードナンバー。名曲。

ジャンル分けすれば、このアルバムもロックに分類される。
ポップス色は薄まり、ハードロック、プログレッシブロック色がつよくでる。
あとから振り返れば、「YENトリックス」から「マージナル・ラヴ」への橋渡し的な位置にあることがよくわかる。

アウシュビッツ・ドリーム(紙ジャケット仕様)

アウシュビッツ・ドリーム(紙ジャケット仕様)

ライヴ・アルバム「レッド・パーティ」(キングレコード

○1st「yenトリックス」からの曲
A1-YENトリックス,A2-ブラック・マライア,A3-レット・イット・ブロー,
B2-フェイト,B3-ウイ・アー・ザ・セイム,C3-キー・オブ・ゴールド,D3-バーニングP.M.

○2nd「アウシュビッツ・ドリーム」からの曲
A4-アウシュビッツ・ドリーム,C1-エスタンシア・ラバー

○その他
B1-CAPTER OF YOUR LOVE,D2-HELTER SKELTER 笹路正徳ヘルター・スケルター」より
B4-CRASH THE CURSE OF CHRIST 清水靖晃「ベルリン」より
D1-ATOMIC ROOSTER 土方隆行「アトミック・ルースター」より
C2-IN SERCH OF ・この曲のみオリジナルがあるのかわからなかった。

C1-エスタンシア・ラバーは、「アウシュビッツ・ドリーム」収録のスタジオ録音版よりも、こちらのライヴ版の方が気にいっている。
ネット検索して調べていたら、このアルバムの発売年は1982年とあったが、「マージナル・ラヴ」よりも後に発売されたのだろうか。

レッド・パーティ(悪魔の宴)(紙ジャケット仕様)

レッド・パーティ(悪魔の宴)(紙ジャケット仕様)

ベルリン

ベルリン

アルバム「マージナル・ラヴ」(日本コロンビア)

1番好きなアルバム。全ジャンル含めたアルバムの中でも、個人的には上位に位置する作品。
様式化したフュージョン・ミュージックではなく、様々なジャンルが融合しジャンルわけ困難な音楽という意味でフュージョン(融合)といえるかもしれない。
また、様式化したプログレッシヴ・ロックではなく、言葉本来の意味でのプログレッシヴな音楽といえる。
発売当時購入したのはシングル盤「マージナル・ラヴ/レディ・オブ・ザ・ファースト・ウオーター」のみだった。
アルバムは1983年にレンタルし、ダビングしたカセットを聴いていた。
購入したのは91年にCD化されたとき。
A1-LUCY'S SMALL HOTEL(ルーシファーの小さなホテル)
・この不気味な感じがなんともいえず、好きな人間にはたまらない魅力だが一般受けはしなさそう。
A2-MARGINAL LOVE マージナル・ラヴ(究極の愛)
・CMソングにもなった(日立Lo-D SOUNDとシングルに記載。ステレオだったか?)。SFっぽいサウンド
A3-A LONG SHOW BEYOND(気分をいえば)
アコースティックギターがバッキングのスローナンバー
A4-PRINCE AND PAUPER(おうじとこじき
プログレっぽい構成の大作。
B1-SO WHAT(だから?)
・ボーカル中心のナンバー。ギターのカッティングがかなり高度なんじゃないか?(多分だけど)
B2-LADY OF THE FIRST WATER(白雪姫)
・サックスの音色が官能的。B2からB4にかけての展開が白眉。
B3-RIM OF TIME(時の淵[フカミ])
・幻想的なサウンド
B4-ENTRANCE OF ENDLESS CAFE(終夜営業茶屋入口)
・アルバムを締めくくるに相応しい名曲。アルバムを聴き終わると同時に異世界に迷い込みそう。

マージナル・ラヴ(究極の愛)

マージナル・ラヴ(究極の愛)

Marginal Love

Marginal Love

アルバム「うたかたの日々」(日本コロンビア)

ミニマルミュージックと呼ばれる音楽に属するのかもしれない(詳しいことは知らないが)。
清水靖晃のソロ「案山子」と同テイスト。
悪くはないけど、「マージナル・ラヴ」が大好きな人間からすると、自分の好みからは離れていった気がする。
<収録曲>
1−そこから... 2−視線 3−花が咲いたら
4−不自由な鼠 5−空に舞うまぼろし 6−心臓の扉 7−少年

うたかたの日々

うたかたの日々

まとめ

ポップ色のつよいロックから、ヘビーなロックへ、そしてジャンル分け困難な独創的な音楽へと展開し、ミニマル風な音楽へと至り解散。
個性的なグループだったが、特定のジャンルに安住しなかったために、一般的な知名度は低くカルト的な存在になってしまったといえる。
(個々のメンバーはジャズやスタジオの世界の一線級のミュージシャンだけれども。)
現在は入手困難なアルバムの方が多いみたいなので残念だ。

清水靖章

「案山子」

案山子

案山子

「北京の秋」(日本コロンビア)

北京の秋

北京の秋

A1-JUST ONE OF THOSE THINGS,A2-NIGHT & DAY の2曲が特に気に入っている。
「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス」この曲のサックスも凄く官能的。
「ナイト・アンド・デイ」ベースがシンプルなのに印象に残る。